絵本作家の田島征三さんが描く力強い絵が魅力の『とべバッタ』。恐ろしい天敵から身を守るため、小さな茂みに隠れすんでいた一匹のバッタが、ある日決意をし、大空にはばたくストーリー。
「ちいさな しげみの なかに、バッタが いっぴき かくれすんでいた。そこには、おそろしい ものたちが いて、バッタを たべてしまおうと ねらっていた。」次々と仲間が食べられていくのを横目にしながら、びくびくしながら暮らすバッタ。
「そして あるひ、バッタは けついした。」「バッタは、おおきな いしの てっぺんで、ゆうゆうと ひなたぼっこを はじめた。」
あっと言う間に、蛇に見つかり、カマキリも襲いかかってきた。
「バッタは、しにものぐるいで とんだ。」
「そらの トリは、てっぽうの たまにあたったのかと おもった。」
「・・・じぶんの はねで、じぶんの ゆきたいほうへ、かぜに のって とんでいった。」
いつも怯えていたバッタが勇気を振り絞り、自分の力で飛び上がり、今まで一度も使ったことのない4枚の羽根に気づく。田島征三さんが描く空高く飛び上がるバッタの姿は、力強く、誇らしい。
真っ赤な夕焼け空を背に、ゆうゆうと飛んでいく一匹のバッタ。力強い絵とともに、主人公のバッタに引き寄せられ、勇気が湧いてくる絵本。元気になってほしい、自信を持ってほしい、そんな気持ちと共に贈りたい一冊です。