旅人であり編集者の内田洋介さんが、取材、撮影、編集から流通まで、すべてを個人で手がける独立系旅雑誌『LOCKET』の最新号です。
世界中を旅する内田さんが、毎号独自の視点でひとつのテーマを掘り下げ、「世界の主観的な“真実”のようなもの」をお届けします。
第6号は、旅人のためのスキー特集。
地図の上から空白部が消え、秘境がなくなったといわれる今。銀白部に目を移すと、未だ知られていない旅の世界が広がります。
銀白の世界を求めて訪れたのは、中東のイランとトルコ。一見、スキーとは縁遠い国の雪山で、「スキーを楽しむ」という普遍の姿を見つけます。
標高2500mを超える山岳地帯にある小さな山村。旅の途中で出会った、築150年の家に暮らす一家との交流も魅力的です。
ノルウェーでは、紀元前に描かれた原始のスキーヤーの岩絵を訪ねて海外部の小さな島へ。韓国では、古代スキーの面影を追って国境地域へ。スキーの起源を追いかけて、旅の世界が広がります。
台湾では、南国の人々と雪山との縁に想いを巡らせながら、廃墟と化したかつてのスキー場跡地へ。
今号では、写真家の石川直樹さんも寄稿されています。20代で北極から南極までを人力で移動するプロジェクト「POLE TO POLE」に参加された石川さん。スキーは"シンプルで、究極の移動手段"という石川さんの言葉が印象的です。
「もの」としての佇まいも『LOCKET』の魅力の一つ。オフセット印刷は、長野県松本市の藤原印刷による美しい「心刷」。
農民美術から発祥したスキー人形を紹介するページでは、アナログ感ある味わい深い表現が特徴のリソグラフ印刷を採用し、内田さん自ら印刷作業を担当されています。
変型で挟み込まれたゲレンデの写真集など、独立誌ならではの細部まで手の込んだ自由な編集で、様々な角度から、スキー文化の魅力を余すことなく伝えます。
旅人として、編集者として、内田さんの言葉で紡がれる何気ない日常の風景や人々。世界中を旅して歩くように、素敵な旅のひと時をお過ごしください。