突然、最愛の友だち"ことり"を亡くした"くま"が、"やまねこ"に出逢い、新しい一歩を踏み出す勇気を描く物語、『くまとやまねこ』。
亡くなってしまった"ことり"のために、"くま" は小さな箱を作り、箱をきれいな色に染め、花びらもしきつめました。
いつも、どこへ行くにも、"くま"は"ことり"をいれたその箱をもってあるくようになりました。でも、箱をみた森のどうぶつたちの言葉に心を閉ざし、"くま"は暗い部屋に閉じこもってしまいます。
久しぶりに外へ出かけた"くま"は、見慣れない"やまねこ"に出逢います。"くま"がもちあるく箱を見た"やまねこ"は、素敵な言葉をかけてくれます。そして、"やまねこ"の箱から出てきたバイオリンで演奏をしてくれました。
バイオリンの音色を聞きながら、"くま"は、"ことり"と過ごした楽しかった日々を思い出します。"くま"の心が少しずつ晴れていくように、色づいていく景色も印象的です。
「ぼく、もうめそめそしないよ。だって、ぼくとことりは ずっとずっと友だちなんだ」。"くま"は、"やまねこ"に誘われ、旅に出かけることにしました。生まれてから一度も離れたことがなかった自分の家を離れて。
大切な友だちを亡くした悲しみから、生と死に、優しく向き合い、新たな時を見つける物語。酒井駒子さんの印象的な絵と共に、子どもから大人まで心に響く絵本です。