石川直樹さんを読む

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8,000m峰全14座、登頂の軌跡を辿る

2024年10月ヒマラヤ山脈のシシャパンマに登頂し、写真家として初めて、世界に14座ある8,000m峰完登の偉業を成し遂げた石川直樹さん。その歩みを綴った著書、「最後の山」が8月27日に新潮社より出版されました。

ヒシガタ文庫では石川さんご本人にお越しいただき、出版を記念するトークイベントを開催。今回はトークイベントの様子と、石川さんのこれまでの作品の中でも、ぜひ手に取っていただきたい、スタッフおすすめの本をご紹介いたします。

『最後の山』~シシャパンマ登頂までの記録

写真家、文筆家として数多くの賞を受賞され、登山家としても、世界で未だ数少ない「14サミッター(=14座完登者)」として歴史に名を刻んだ石川直樹さん。

「デスゾーン」と呼ばれ、常に命の危険にさらされる標高8,000mの世界に、愛機の中判フィルムカメラを携え登り続ける石川さんが挑んだ最後の一座、シシャパンマ登頂までの軌跡を記録したのが『最後の山』です。

石川さんが8,000m峰に初めて登頂したのは2001年のこと。当時の世界最年少記録を更新し、23歳でエベレスト登頂に成功。以降、23年間をかけて8,000メートル峰14座にひとつずつ登りながら撮影を続けてこられました。

そんな石川さんが14座登頂を意識するようになった背景には、一人のシェルパとの出会いがあったと言います。「僕にとって本当の意味で友達と呼べる数少ない存在」というネパール人シェルパ。本書は、石川さんが「新世代のシェルパ」と呼ぶ登山ガイドと挑んだ登頂記としても書かれています。

この23年間を振り返り、石川さんは、仲間たちと越えてきた14座どれ一つとして簡単な登山はなかったと仰います。どれもが苦しく忘れがたい経験に満ちた、その濃密な体験を忘れないために、背景や歴史を含めてすべてを残したいと思って書かれたという『最後の山』。渾身の記録、ぜひお手に取ってみてください。


▲トークイベントでは、石川さんが20代の頃から撮ってこられた貴重な動画とともに、これまでの旅や出会った人々を振り返り、その時々の経験と思いをお話し下さいました。時折笑いを交えながらも語られる内容は、極限の状況下でむき出しの生と死を肌で感じるお話ばかり。シシャパンマの山頂で石川さんが仰った「みんなで着きました」という一言がとても印象的でした。


▲店長との一コマ。世界的な偉業を達成されたにも関わらず、ご本人はいたって自然体で飾らないお人柄。参加者様からの質疑応答やサイン会にも気さくに応じてくださいました。

写真集『シシャパンマ』

そしてこちらは、チベット山麓からシシャパンマ登頂までの道のりを石川さんが中判と35ミリのフィルムカメラで撮影した写真集です。

チベット山麓の人々の日常風景から始まり、信仰と生活が一体となったチベットの風習や動物とともに生きる人々の姿、シシャパンマへ近づくにつれて広がる荒涼とした地平、次第に深くなる雪と岩稜の世界、そしてシシャパンマから見下ろす地平線──。

ページを開いた瞬間、驚くほど五感に伝わってくる現地の匂いや喧騒、風の温度は、単焦点レンズのみを使って、石川さんがご自身の見ている世界をそのまま切り取っているから。「8,000m峰を登る」という登山の全体像を私たちに追体験させてくれます。

世界最難峰への挑戦

石川さんの写真集の中で、もう一冊お勧めしたいのがこちら、『K2 Naoki Ishikawa』。

14座の中でも最も登頂が難しいといわれるカラコルム山脈の最高峰「K2」への、3度にわたる挑戦を109枚のフィルムで綴った写真集です。

標高8,611mと世界第2位ながら、その険しい地形と厳しい気象条件から「サベージ・マウンテン(Savage Mountain=非情の山)」とも「魔の山」とも呼ばれ、世界一登ることが難しいとされる山、K2。

極限の状況下で、二度と出会うことのない瞬間の光景をとらえた一枚一枚に、自分では見ることの叶わない「非情の山」の厳しく美しい、ありのままの姿を知ることができます。


▲こちらの3冊は、石川さん直筆のサイン本もございます。ぜひ、ご覧くださいね。

石川さんの旅の軌跡を辿る本

山、空、海、極北から8,000mの高峰へと、10代の頃から旅を重ね、常に旅の中に身を置いてきた石川さん。

ミクロネシアで星の位置を頼りにカヌーで海を渡る原初の航海術を学び、北極点から南極点を9か月間かけてスキー、自転車、カヤック、徒歩などすべて人力の移動手段で縦断するプロジェクトに参加。原始時代の洞窟壁画を辿って日本からオーストラリア、ヨーロッパ、アフリカ…と点在するサンクチュアリを撮影してまわるなど、まさに地球上を縦横無尽に移動し、その記録をご自身の作品の中に残してこられました。

そのどれもが、まるで小説のように非日常的で濃密な体験を投影したものばかり。その中から、オンラインショップでもお取り扱いのあるこちらの2冊をご紹介します。


▲熱気球での冒険で数々の記録を樹立し、太平洋横断中に消息を絶った冒険家・神田道夫さんを書いたノンフィクション『最後の冒険家』と、2012年から7年間の旅の記録を時系列に綴った『地上に星座をつくる』。どちらもおススメです!

ご自身も昔から本を読むのが好きだったという石川さん。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んで、坂本龍馬のお墓参りのためにひとり高知を旅するなど、旅の原点には本があったと言います。そんな石川さんの作品もまた、次の世代の冒険家へと繋がれていくのでしょうね。


プロフィール

石川直樹
1977年、東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。
人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。
2008年『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。2020年日本写真協会賞作家賞受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。

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