「日本にただ一人（たぶん）の歌人芸人」 岡本雄矢さんが、身の回りの小さな”トホホ”を（だいたい）15文字の自由律短歌にのせてお届けする不幸短歌集『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』です。

よく失敗する、言いたいことが言えない、反論したくても返せない、なぜ自分だけこんな目に合うのかといつも思う、自分には劇的なことが起こってくれないと嘆いて生きている……。そんな岡本さんのひたすら小さな不幸に見舞われる毎日が、フリースタイルの短歌とエッセイで綴られています。

「あの数ある自転車の中でただ１台倒れているのがそう僕のです」
「星空が綺麗なことで有名な露天風呂でのすごい曇天」
「死にたいと呟くあいつの腸にまで生きて届いているビフィズス菌」

岡本さんが詠うのは、実は誰もがちょっとは身に覚えのある、切ない事、情けない事、悲しい事、もどかしい事。それをクスッと笑える短歌にすることで、読む人は「こんなことあるかよ」と笑ったり、「こんなことあるな」と頷いたり、「こんな人がいるなら自分はまだ大丈夫だ」と思えたり。岡本さんの隠れた優しさが染みる、とってもトホホな一冊です。

”あなたに明日笑ってもらうために”綴られた、不幸すぎて笑える短歌集。日頃から短歌に親しんでいる方にも、そうではない方にも、気軽に笑って楽しんでいただけます。